たかしさんは、脊髄小脳変性症という進行性難病を患っている42歳です。
彼にはずっと見てみたい景色があります。
それが「オーロラ」。
彼が見たいオーロラを、彼と一緒にみたい人が隊を結成!
2016年の2月に始まり、見切り発車で動いた「雪道をはしることのできる車いすHIPPO」の体験から早1年。
オーロラの周期に関する情報収集や貯金期間という名の沈黙を破り、3月29日に第1回ミーティングを皮切りに、ついに実現に向けて動きはじめました!!
【このプロジェクトが始まった経緯】
彼は 72 歳のお母さんと二人暮らし。
食事はイロウといって胃に穴を開けてチューブから必要な栄養分を注入するといったスタイル。寝返り、トイレといった、そのほかの生活はすべての事に介助が必要な状況です。
コミュニケーションの手段は文字盤を使うか、それが難しい時は指を握ることで返事をするといったものです。
彼は数年前から「オーロラに行きたい」とよく言っていましたが、現在までの間に彼の病状は進行し、唾液をうまく飲み込む事ができない状態になっているため、誤嚥性肺炎(気管に痰や食品等の異物が入って引き起こされる肺炎)を起こすようになり、それによる入院を余儀なくされるようになりました。
彼の病気は進行性の難病。
これを止める手立ては今の医学には残念ながらありません。
そんな中、これからの彼の人生について、周囲の人たちと彼と話し合う機会 を持ったときの事です。
彼は以前から『人工呼吸器は使わない』と言う意思を表明していました。周囲の人たちは、その気持ちを尊重しながらも、何とか今を楽に生きてほしいという願いから、肺炎を防ぐ事のできる手術を受けることを進めました。
彼の答えは「NO」。
もちろんこの先人工呼吸器をつけることも「NO」。
「今のままで、自然のままで、自分の人生を全うしたい。本当はイロウもいやだった。」と話しました。
彼もみんなも、一緒に泣きました。
話し合いの帰り際、彼は必死にニコちゃんの会の森山を呼び止めていました。彼の話を文字盤で聞くと「オーロラ」でした。
普段中々しっかりあけることが難しい目で、一生懸命に森山を見つめて、彼は訴えていました。
その帰り道、ニコちゃんのスタッフの間で「よし!オーロラ行こう!とにかく積み立て始めよう!」と言う事になり、
‟たかし とオーロラいくっ隊” として、いつ叶うかわからないけど一緒に行くことを目指して、毎月積み立てをしてくれる仲間を募りました。
現在隊員はたかし隊長を含め 6 人!
彼のケアに必要な人員は2人。2人で 24 時間をケアすることは不可能なので、その倍で 4 人。
(日中も2人かかりで移乗やトイレ介助などが必要で、夜間もケアや見守りが必要です。)
そして、お母さん。
彼のオーロラを実現するための最少人数です。
さらに、この隊の結成によって、彼の心に変化が生まれました。
誤嚥性肺炎を引き起こさないための手術を受ける事にしたのです。
彼なりのオーロラを観るための努力だそうです。
このようにしてこのプロジェクトは始まり、ニコちゃんの会としても並走して進めていく事になりました。
2016年2月13日に長野にあるHIPPOという車いすに試乗してきました!
体温調節の難しいたかしさん、寒さに耐えれるかどうかの実験も兼ねています。
しかし、オーロラが見れる場所の寒さは比べ物になりません。
課題はたくさんです!
2017年3月29日のミーティングの様子。
目をしっかり開けてオーロラ情報をキャッチ!
今回のミーティングでは、オーロラ情報を共有したのち、
目的地の設定、課題の洗い出し、次回のアクションの計画を話しました。
たかしさんとオーロラを見るために、旅費等は参加する全員が自己負担で毎月積み立てをしています。
まだまだ足りないけれど、病気の進行は待ってはくれません。
とにかく今年の終わりか来年の頭を目指して、入念な、しかし楽しいミーティングを始めました!
進捗状況などもお伝えしていきますので、
オーロラの下で彼が笑顔になれるよう、ぜひあたたかく見守っていてくださいね!
*「たかしとオーロラいくっ隊!」は、ニコちゃんの会のスタッフ数名と有志の個人で結成されています。
ニコちゃんの会は、たかしさんがオーロラを見に海外へ行くことをとおして、重い病気や障がいのある方が海外旅行にチャレンジする助けとなるようノウハウをまとめ発信していく調査・研究活動として関わっています。また同時に、余暇を楽しむという意味もあることからよかプロジェクトにもまたがった活動となっております。
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