2月19日、
「ニコゼミ2016 最小で最大のコミュニケーションに出逢う!!!」のセッション1の第6回目、医療的ケアを通して心身を知る講座を開催しました。
いよいよセッション1の最終回!
重い障がいのある子どもと関わるうえで、切り離して考えることはできない医療的ケアと身体の仕組みについて学んでいきました。
まずは鼻と口、気管と食道がどのようなつくりになっているかを、何も見ずに描いてみるところからスタート!
学生のころに学んだことや風邪薬のテレビCMなんかの記憶を辿ってみんななかなかユニークな身体の絵を描いていきます。
そこから飲み込み(嚥下)について、実際にヨーグルトやクッキーなどを色んな方法や姿勢で食べたり食べさせてもらったりしながら、自分の身体を通して学んでいきます。
また嚥下が難しい場合の経管栄養(経鼻・胃ろうなど)について、希望者が実際に体験してみました。
アドバイザーの黒木さんが鼻からは難しかったので、口から胃まで自らチューブを入れてお茶を飲んでみました!実際の経鼻栄養の方と同じように胃までチューブが届いているかを確認してから注射器のような器具(シリンジ)でお茶を注入します。食道を通ることなく胃に飲み物が突然入る体験をし、とても不思議な感覚を覚えたようです。
受講生が映像でみたり実際に会ったりした重い障がいのある子どもは、お鼻にチューブが入っていることが多いのですが、どういうことだったのかが受講生もとても想像しやすかったのではないでしょうか。
そして続いて呼吸について学んでいきます。
顎や胸郭を触って呼吸について感じたり、血中の酸素の濃度をはかる器械(パルスオキシメーター)で実際に息をとめて血中酸素飽和度を下げる体験をしてみたり、自らの身体と呼吸障がいのある子どもを近づけて考えていきました。
自らでの呼吸が難しい方は、喉の手術(気管切開)をしたり人工呼吸器を使ったり、様々な方法で呼吸をしていることも学びました。
またそのための気管切開部に挿入する器具(カニューレ)の出し入れや、私たちの身体が自然としている分泌物(痰)の処理ができない場合の吸引を人形を使って体験したりしました。
さらに身体の左側を下に横になり炭酸飲料を飲むことで、嚥下と呼吸の関連性や内臓を意識する体験もできました。
本当に時間が足りなくなるくらいたくさんの今回の講座で体験したことは、医療福祉の分野でもそれに限定した研修などを受けないとすることができない体験です。
しかし、難病や重い障がいのある方にとっては日常的に必要で、自分の身体の一部のことです。
それを少しでも知ることで、触れてはいけない‟ 未知のこと ”ではなくなるのではないでしょうか。
まず、その壁を少しでも低くすることで、私たちはもっともっとコミュニケーションを自由にとっていけるのだと思います。
受講生の感想を少しだけご紹介します。
「自分が実際にいろんな角度から食べてみたり飲み込んでみたりと、何気ないことですが、きちんと知ることができてよかったです。」
「24時間、鼻やのどに何か入っていることが、どんなことか、分かるなんてことはないけれど、何だか、上手く言葉にならないです。」
「身体は知らないところで、精密によく働いているのだな、と意識する。また、それは当然ではないことも。」
「この前『障がいは経験』という言葉を聞きました。本人の経験で何が障がいか決まっていく。介助や手助けも、知ってやるのと知らないでやるのでは、障がいになってしまうなぁと思ったので、やっぱり障がいを知るには体験だなと思いました。」
〔講師紹介〕
下川 和洋 (しもかわかずひろ)
NPO法人地域ケアさぽーと研究所理事。東京学芸大学初等教育教員養成課程卒業後、都立養護学校に勤務し、在職中より医療的ケアについての課題に積極的に取り組む。現在は、学習会や研修会の講師として全国各地に赴く。
主催 : 認定NPO法人ニコちゃんの会
助成 : タケダ・ウェルビーイング・プログラム2015
協力 : 福岡市立南福岡特別支援学校、九州大学長津結一郎研究室、九州大学南博文研究室、CLCworks、art space tetra
後援 : 福岡市、福岡市教育委員会、九州大学大学院芸術工学研究院ソーシャルアートラボ
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