【ご報告】ニコゼミ2020 セッション5 命について

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1/16(土)に行った、 「ニコゼミ2020 専門職のための“互学”のすすめ
セッション5 命について「5-1 緩和ケアの現状について」のご報告です。

 
今回のハナシテさんは、大阪市立総合医療センターの医師である岡崎伸さん。西南女学院大学保健福祉学部准教授、九州大学病院小児科特任教官で医師の笹月桃子さんのお二人です。

今回は12名の受講生(医師1名、看護師4名、保育士4名、理学療法士1名、介護士2名)が参加してくださいました。

前半は笹月さんがハナシテさんとなり、アンケートを活用しながら命にはどんな要素があるかを話し合いました。後半は岡崎さんがハナシテさんとなり、「今まで出会った忘れがたきこども」をテーマにグループディスカッションを行いました。今回は小児緩和ケアのことも取り上げながら、命について考えるセッションとなりました。

 

“大切なのは命の何?”
“今まで出会った忘れがたきこども”

 

*以下、ディスカッションの内容・意見を一部抜粋し、ご紹介します。

[理学療法士] 訪問でかかわっていた子。その子には自閉症があるけど、お母さんは認めたくなかったように感じました。だんだんこだわりが強くなって精神科に行くように。状態は悪くなって痰がからんで、食事もとれなくなって、気管切開をすることになり、その手術のため入院することになりました。退院の時、お母さんにはしっかり指導ができていなかったようで「なんとかなるとおもいます」といった感じでした。でもその次の診察の後に亡くなりました。原因はわからず。最初に自閉症といった時にコミュニケーションがもっととれていたら違ったのかな、と思ってしまいます。

[看護師] 病院に勤めていたころのことで、集中治療室で延命治療をしていたお子さんです。両親がやっと面会に入れた時に医師から延命や見取りの話をされました。でももちろん母は決められなくて悩んでありました。そんなときに医師が言っていた言葉で、赤ちゃんはお母さんのおなかの中で一緒に長くいたので、お母さんが思ったことは赤ちゃんからのメッセージではないか、というのが自分には残っています。両親とも向き合って話し合える言葉に優しさを感じました。重篤な状態の小さなお子さんのこれからをどう決めるかは親にとっては大きな葛藤だと思います。赤ちゃんのメッセージをどうとらえるかはこれからもずっと課題だと思います。

[保育士] NICU(新生児集中治療室)とGCU(新生児回復室)で保育士をしていた時に1000g以下で生まれて心疾患がある子がいました。家庭は若いシングルマザーのおうちでした。体重が思ったように増えず、入院が長期化してしまい、GCU内で歩き回れるほどまで成長していました。病院の一室から全く出ることができないまま数年が過ぎ、病院の中で成長するこどもたちにとって何が必要なのかを考えるようになった。

 

*以下は、振り返りシートからの抜粋をご紹介します。

「例えば、反応が出にくい重身のお子さんだったら、その子のわずかな反応について他職種の方と共感しながら、その子の反応の意味付けなどを考え、それをご家族へ伝えることができるのかなと思いました。」

「早くコロナが落ち着いて、直接お会いできるようになるといいですね。これが知りたい、とかテーマとかではなくて、思いつくままに色んな雑談がしたいです!」

「ニコちゃんのスタッフの皆さん毎回準備、振り返りまで本当にありがとうございました。
楽しいだけでなく出会った皆さんと一緒に働いてみたいと思います!また会えるといいな!」

 

最後のセッションは命について。
これまでの大切な出会いを各々が振り返りながら意見を共有する機会になったと感じています。また、今回の企画での他の職種の様々な価値観や経験を共有することで、チームワークに必要な「感覚」を育むことができるのではないかと思います。
今後も何かしらの形で専門職のための「互学」を続けていけたらと思います。

 
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≪ハナシテさんプロフィール≫
5-1 緩和ケアの現状について
●岡崎 伸(おかざきしん)
大阪市立総合医療センターに勤務。小児科専門医・指導医、小児神経学会専門医、てんかん学会専門医・指導医。小児緩和研修会CLICワーキンググループ。文部省科学研究(小児緩和ケア児の「生きる体験」を支える支援者用ガイドブックの開発)主任研究員。一般社団法人スペシャルキッズサポート振興協会顧問。てんかんがある子どもの家族と作るアプリ「nanacara」監修。
 
●笹月 桃子(ささづきももこ)
西南女学院大学保健福祉学部准教授。九州大学病院小児科特任教官。医師。子どもたちのいのちのあるがままの尊さと力が守られ、謳歌され、そして、この世に生きるすべての人々の唯一無二の生が尊ばれる社会の醸成につながることを大切にしている。
 


主催:認定NPO法人ニコちゃんの会
助成:タケダ・ウェルビーイング・プログラム2018
協力:福岡大学病院小児等在宅医療推進事業