【ご報告】ニコゼミ2016 セッション1 視点をずらす思考の講座

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12月11日、
ニコゼミ2016 最小で最大のコミュニケーションに出逢う!!!」のセッション1の第4回目、視点をずらす思考の講座を開催しました。

今回は外での講座。当日は、空気の気持ちいい晴天でとってもお天気に恵まれました。

まずは目隠しとエアー大繩飛びで、身体と心とそれぞれの関係をあっためていきます。
道路を大胆に使ってるのは、天気がいいのでおおらかにみましょう。
 
そしていよいよ講師の鈴木さんから指令があります。
『できるだけ自分のしたことを覚えながら、散歩をしましょう。』

みんな「?」という顔ですが、とりあえず鈴木さんについて歩きはじめます。
ニコゼミも4回目ともなると受講生も顔見知りになっているので、会話も弾みます。
天気もいいし、こんなふうにゆっくり歩く機会もあまりない人もいるようで、みんな笑顔です。
途中で鈴木さんから指示があって、木や葉っぱを触ったり、川に向かって大きな声を出したり、みんな言われるがままにしかし楽しみながら実行します。

そして元の会場に戻ります。
そこで『ワークショップはここからです。』と鈴木さん。
みんな、きょとん。
なんと今したこと、話したこと、すべてをもう一度繰り返すとのこと。
経験を繰り返すワークショップということです。

2回目は散歩中の犬の首輪がとれるという事件が起きて大騒ぎになったり、
3回目は早回しという指示があったり、
4回目は若干疲れがみえはじめたり、、、、
同じことを繰り返しているのに、少しずつ出来事にも自分の気持ちにも違いがありました。
 

この講座は、果たして重度の障がいのある子どもと関わることに、関係があったのでしょうか。
しかし、子どもたちの動きはささやかです。そして、何度も何度も繰り返すやりとりも多くあります。
そのことを難しいと捉えるのも、退屈と思うのも、楽しんだり味わったりすることも、見方次第なのかもしれません。

受講生にとっての今回のこの不思議な体験は、
直接的には関係していないかもしれませんが、関係ない、こともない、のかもしれません。

 
以下に、受講生の感想をご紹介します。

「1回目のみんなが覚えている印象的なことだけを行っているのではないかと感じ、1回目の何を忘れているのかを知りたいと思いました。」

「何度も何度も繰り返すうちに、初めてやったことがルーティンになっていく。ルーティンになると“やらなければいけない”という気持ちが生まれる。『人には“やらなければいけない”作業はない(=意思がないから)』と言われたことを思い出した。」

「同じことをすると、自分の好きなことと、そうでないことが、自分の中ではっきりするのかもしれないですね。」

「人にこう言われたとか人がこんなことしてたとかの方が覚えていました。人って意外と人に対して言ってることとかやっていることとか忘れているのかも。」

「今日の何気ない時間の繰り返しには、なんの向上心もなく、なんの頑張りもなく、ただ私の周りの人々と環境の存在で私が生きたり感じたりしている日常を再確認した。偶然や時間や人々の重なりのおもしろさを感じると、頑張らなければならないことやすごいことが、いいことだと考えることも、それで自分を苦しめることもないのかもしれない。」

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経験を繰り返した1~4回目の同じ場面の動画をご覧ください!

1回目

2回目

3回目

4回目

 

〔講師紹介〕
 鈴木 淳 (すずきあつし)
現代美術家。
表現方法にとらわれない多種多様な創作活動を展開。
場の見え方・考え方、人との関係性をずらしていくそれらの行為は、
私達と日常との関係性を再構築する試みでもあり、「私達」と「世界」とを行き来する答えを必要としない永遠の問いかけでもある。
2012年第10回21世紀の作家―福岡「なにもない、ということもない」(福岡市美術館)など国内外での展示多数。

 
主催 : 認定NPO法人ニコちゃんの会
助成 : タケダ・ウェルビーイング・プログラム2015
協力 : 福岡市立南福岡特別支援学校、九州大学長津結一郎研究室、九州大学南博文研究室、CLCworks、art space tetra
後援 : 福岡市、福岡市教育委員会、九州大学大学院芸術工学研究院ソーシャルアートラボ