空気と存在に出逢う読書会#04

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10月25日、
4回目となる読書会を行いました。
好きな文章を声に出して、初めての体験や空間や人や自分の気持ちに出逢う、そんなちょっぴり変わった会です。
いつも石井さんと行っています。彼はALS(筋萎縮性側索硬化症)という病気のある方です。

 

今回はなんと10歳のお子さんも来てくれました。
それから吃音がある方も来てくれました。
吃音とはいわゆる“どもり”で、声を出すタイミングがうまくつかめないとどもってしまうそうです。
朗読はもっとも苦手とするもので、でも歌を歌うことはできるといいます。
だから歌うような感覚で、リズムを自分の中に持ち今回声を出して文章を読んでくれました。

石井さんとは、まばたきで会話をします。
「アカサタナ」か「ハマヤラワ」かを訊いて「アカサタナ」でまばたきをしたら、
「アカサタナ」を言って「タ」でまばたきをしたら、
「タチツテト」を言って「ツ」でまばたきをしたら、
初めて「ツ」という一文字が浮かび上がります。

この連続で会話をしていきます。

このまばたきの会話のときに、自然と参加者が石井さんとヘルパーのやりとりに集中していました。
それは例えば吃音のある方(どもる人)の言葉を聴くときと似ています。
子どもや語彙の少ない人のうまく説明できない感情の言葉を聴くときと似ています。

「恥ずかしいから注目しないで」ということももちろんあるでしょうが、それは奇異の目ではなく、あなたを知りたいという安心の目であれば、成立するのではないでしょうか。
言葉が生まれる瞬間の魅力と、聴く側が近づこうと知ろうとする好意がそこにはあると思います。

 

それから、第1回目からこの読書会にずっと参加してくれてる方が、最後に少し残って石井さんに近寄っていきました。
お互いに話したい、でも話す術がないこと、(まばたきの会話は慣れるまでお互いに時間が少し必要です)
それでも近づいてみようとしていることが、とても嬉しい光景でした。

 

はじめは非日常をなんとなく体験してみたいね、といったことから始まった読書会でしたが、回を重ねるごとに、様々な言葉と人と想いとが混ざっていくのを感じます。

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この読書会は【関係性と出逢う】の発端となったものですが、今回は【関係性と出逢う】内の第3弾として行っています。
【関係性と出逢う】は障がいのある人もない人も対象に芸術を通して、お互いのもつ関係性を再考する企画です。
この企画はアサヒアートフェスティバル2014に参加しています。
【関係性と出逢う】#01#02の様子はこちらをご覧ください。

主催:NPO法人ニコちゃんの会
特別協賛:アサヒビール株式会社
助成:公益財団法人 アサヒグルーブ芸術文化財団